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2013/10/17

アニソンサミットVS出演者・高木伸秀さんにインタビュー!!


アニソンサミットVSまでもうすぐですね
今回は皆様に嬉しいご報告がございます。

アニソンサミットVSに出演される
高木伸秀さんへのインタビューが実現しました!
数々のアニソン専門誌の編集に参加し、
現在はアニメ誌「オトナアニメ」にて編集を行う高木さんに
お仕事や雑誌制作のエピソードを伺いました。




簡単に編集の仕事をはじめたきっかけと、これまでの経歴を教えて下さい。

 僕はちゃんと卒業はしていないんですが、元早大生でして……いろいろあって、2004年にあったオール早稲田文化週間イベント「モーニング娘。にみるアイドル音楽の再評価」(※1)というアイドルの楽曲についてのトークイベントで手伝いをしていたんですね。そのときに「ユービック」という編集プロダクション(※)の永田ヒロアキさんから出演者の方にコメントをもらって別のイベントで使いたいので時間がほしいと連絡を受けて。永田さんとは、その後もWindows Messengerでたまに会話をするようになって。
 当時、UNDER17(※2)の曲を聴きながらMessengerにログインしていたら、「アンセブとか聴くんだ? 『声優&アニメソングミュージックガイド』っていう本があるんだけど、時間あったら手伝わない?」と声をかけてもらって、それが出版関係で最初の仕事でした。何本か原稿を書かせてもらったのと、文字起こしを依頼されたインタビューに同行させてもらいました。
 当時はまだ大学4年か5年目くらいで、その後もしばらく籍を残しつつ就職活動したり遊んだりしていたら「来年からどうするか決めてないんだったらうちに来ないか」と誘われて、編集の仕事をするようになりました。ちょうど『アニソンマガジン』を立ち上げるので人が必要だったらしく、そこでいろいろなことを一から学んでいきました。

当時のお仕事の内容はどういったものだったんですか?

 最初はインタビューの文字起こしと、掲載するジャケット写真の手配、指示されたレイアウトに合わせてデザイナーの方にデータを送ったりするくらいの作業に近い仕事でした。しばらくしてからは、編集としてインタビュー取材への同行、レイアウトのラフを作ったり、原稿の誤字脱字のチェックや行数調整のために言い回しを整えるという仕事をしていました。半年くらい経ってからは記事の冒頭にある「リード」と呼ばれる文を任せてもらって、もうしばらく経つと自分でもインタビューをしたり原稿を書くようになっていましたね。門前の小僧習わぬ経を読む……ではないですが、音楽評論家の冨田明宏さんをはじめ『アニソンマガジン』に参加していただいていたライターの方たちのインタビューの進め方や文章をいちばん近い距離で学べるという、ありがたい経験をさせていただきました。

『オトナアニメ』、『リスアニ!』などで、インタビューページに、「構成」というクレジットがありますが、こちらはどのような仕事なのでしょうか?

 インタビュー記事の場合、聞き手が原稿にまとめる「構成」まで行うことが多いのですが、聞き手と違う人が文章にまとめた場合にライターさん「構成」としてクレジットを併記することがあります。ライターの方はいくつかの仕事を並行して受けていることが多いので、「まとめは編集部でやるので、インタビューだけどうしてもお願いできませんか」と頼むような場合も出てくるんですよ。編集部内で構成を行うこともあるし、構成だけほかのライターの方に依頼したり、新人のライター向けのトレーニングとして構成をしてもらって、最終的に編集部で手を入れるということもあります。

では、「編集」というのはどういったお仕事なのでしょうか?

 先ほど話した、文字起こしや写真のキャプション、リードを書くことや、掲載する写真の選定やレイアウトのラフを作るといった実作業のほかに、本全体の方向性を決めること、どの記事に何ページ振り分けて、順番はこうで……という「台割」作成も編集の仕事ですね。まずは企画会議を行って、「どの作品を紹介したいか/したほうが良いか」という意見を出し合います。そのなかで決まった作品に何かの共通点があれば特集として大きく打ち出すこともあります。逆に「ラブコメ特集」や「SF特集」のように特集のネタを決めてから、その企画に当てはまる作品を話し合う場合もあります。そうやって決まった企画のなかで、どの作品の誰に取材をするのが適しているか、インタビュー中心の構成にするのか、コラムや考察、紹介原稿を中心にするのかを決めていきます。いま『オトナアニメ』では編集スタッフとして3人外部の編集プロダクションの方にレギュラーで手伝っていただいています。僕も一昨年まではそういう外部スタッフの立場で参加していました。誰がどの記事の編集を担当するのかも、その会議の流れや発言でだいたい決まりますね。そのあとは、担当することになった企画をどうやって見せていくかを考えます。
 具体的な例をあげると、『アニソンマガジン』の最後の号は「00年代萌える音楽総決算」というサブタイトルがついているのですが、電波ソング/萌えソングの特集と、ライブの盛りあがりを紹介する特集という企画の2本立ての内容になっています。それまでの号では、表紙・特集の人も含めて本の発売タイミングで取材可能かどうかに引っ張られてしまっていたし、内容も最新リリースに沿った雑誌的なもので、たとえば音楽のジャンルでまとめたり、企画をこちらで作ってまとめるようなものではなかったんですね。この「萌える音楽~」のときは特集ありきでひとつのテーマに沿ったMOOK本として作ろうという方針がありました。「萌える音楽」の特集では、冨田明宏さんと相談しながら、誰にインタビューをお願いするかを決めていきました。お聞きした話がどれも面白かったので、なるべく文字数を増やそうとした結果、写真が少ない構成になっています。インタビューがいくつも続くだけだと単調になってしまうので、間にコラムやCDの紹介などを挟むように……など考えて作ってはいるのですが、いま見返すともうちょっと違った見せ方があったようにも思えてしまうので難しいですね。

「雑誌的」な作り方というのはどういうものですか?

 Vol.1からVol.6までの『アニソンマガジン』だと、特集の後ろに歌手や声優、クリエイターのインタビューが単発で入っていくような作り方で、どうしても最新情報を載せるということに重点がおかれるんです。そういう時事ネタが多くなると、たとえばライブツアーの話をしてもらったときに、ツアーの前のインタビュー記事はどうしてもツアー後には古くなってしまう。特集としてディスコグラフィーを網羅してレビューを書いたとしても、半年、1年経ってしまうと新譜が発売されて不完全なものになるんです。そのときの記録として意味はもちろんあると思いますが、もうちょっと長く残しておきたいと思ってもらえるようなものにできていればよかったなと。……自分自身、まだ編集の仕事をはじめたばかりの頃だったので企画の作り方や見せ方の引き出しが少なかったので、当時に戻れたらもっとこうしたのになと思う部分もありますね。ただ「●●さんのインタビューがある本」「特集がある本」ということも売りにはなるのですが、もうちょっとプラスαの要素があれば良かったのかなと。

それでは「MOOK本」とはどういうところが違うのですか?

 本1冊を通してのテーマを持った本というとわかりやすいですかね。2009年の発売だったので、「00年代のアニソンに起きた変化がわかるような1冊」を目指しました。
 「萌える音楽~」のほうは表紙も声優の方ではなく、かんざきひろさんのイラスト、サイズはA5版にして、ページ数も増やしました。文章や論考を読んでもらおうという方針で作っています。各アニメ誌や声優グラビア誌をイメージしてもらいたいのですが、グラビアや描きおろしイラストを売りにしている本は、だいたいA4くらいの大きな判型ですよね。『オトナアニメ』もA5判なんですが、小さい判型にすると視覚的な部分で勝負すると不利でも文章と密度では勝負ができるんです。あとは、インタビュー取材を行う際の人選も大きく違います。「萌える音楽~」では巻頭にUNDER17のインタビューを掲載しているのですが、すでにUNDER17は解散していて、二人が一緒に取材を受けるような機会はめったになかった。「リリースがあるからこの人に~」という考えではなく、「この特集で話を聞くのであればこの人だ」という決め方で依頼をしました。
 いま大学生の方にはあまりピンと来ないかもしれませんが、編集部内でもUNDER17はそれだけ大きな存在だし、本のなかでそのことを残しておきたいという考えがありました。いまページをめくると、写真が少なくて文字ばっかりだなとも思いますけど(笑)、濃いお話がたくさん聞けたので、インタビュー本文を伸ばした結果ですね。桃井はるこさんも、小池雅也さんもそれぞれご活躍されていますので、最近のお仕事から過去の活動や楽曲に興味を持った方がいたら読んでいただければ嬉しいです。

なるほど。話は変わりますが、いま『オトナアニメ』で編集をされていて、どういうことに工夫をしていますか?

 基本的なことではありますが、台割の作り方という点でいうと読みやすいように流れを考えるということがあります。『とある科学の超電磁砲S』と『劇場版「とある魔術の禁書目録-エンデュミオンの奇蹟-」』の特集をしている『オトナアニメ』Vol.31では『超電磁砲S』から『禁書目録』につなげていくには、どういう構成にしたら読みやすいか。何か作品の特集をする場合、監督のインタビューを最後に持ってきて全体をまとめてもらうのがオーソドックスな作りなのですが、この号では『超電磁砲S』特集の最後に、声優の佐藤利奈さんと阿部敦さんの対談を持ってきています。『超電磁砲S』の話からはじまって、『劇場版「禁書目録」』やこれまでの『とある』シリーズについての話でインタビューを締めることで、次のページからの『劇場版「禁書目録」』特集に自然と意識が向かうようにと。工夫というか、基本的なことですね。
 あとはそうですね……読者はがきに「つまらなかった記事」という記入欄があるのですが、理由として「この作品は見ていなかったから」と書く人がけっこういるんですね。読んでもらったうえで、出てくる固有名詞がわからなくてつまらなかったというのはこちらが悪いので、極端な話、作品を見ずにインタビューを読んでも意味のわかるような構成になるようキャラクターやあらすじなど最低限の説明は入れてほしいということは編集部内で話をするのですが、ページ数との関係でなかなか難しいですね。キャラクター紹介やあらすじ紹介は、公式サイトに書いてある場合が多いのですが、サイトを開いて読んでくれる前提では本を作れないので。
 こちらは本という形でパッケージングしている以上、できるだけ全ページ読んでもらいたいと思っています。そこで、見ていない作品の記事でもどうやって読んでもらうかが工夫になりますかね。たとえば「特集」としてくくってまとめるやり方もそのひとつです。
 そもそもそういう作品のページは目を通してもらうことすらない場合も多いので、そこをどうやって読んでもらうか。たとえば今年の1月に発売した『オトナアニメ』Vol.27では「ラブコメ特集」という企画をやったのですが、ひとくちに「ラブコメ」といってもいろいろありますよね。コミック原作、ゲーム原作、ライトノベル原作という違いもあるし、純愛ものやハーレムもの、主人公が男か女かで好みが違ってくる。たとえば「少女マンガ原作は見るけど、ハーレムラブコメは見ない」という人もいるだろうし、サービスシーンが多いから見るという人もいれば、逆にそれで敬遠する人もいる。そうやって細分化しているアニメファンにも、「ラブコメ」という大きな枠での特集ですよということであれば多くの人に読んでもらえるのではないか、という企画でまとめたり。試行錯誤しています。

それでは最後に、編集者のお仕事をしていてやりがいを感じるのはどういう時か教えて下さい。

 いまの話につながるのですが、記事を読んで「この作品はチェックしていなかったのですが見てみようと思います」という反応をもらえたときですね。もちろんその作品のファンの方から「あの特集が良かった」という声をはがきやツイッターでもらえたときも嬉しいです。表紙・特集で大きく掲載した作品だけでなく、他の雑誌ではあまりが熱厚く取り上げないような作品をあえて取り上げた時に「他誌ではなかなかインタビューが読めなかったので、裏話が聞けて嬉しかったです」というような反響をいただいたときも、届けたいところに届いたんだなと感じます。
 賛否は問わず反響は編集部やライターの励みになるので、はがきは面倒という方でもamazonのレビューなどで意見をいただけると嬉しいです。

注釈
※編集プロダクション
出版社から仕事を受注して誌面を作るプロダクション。編集や原稿の執筆などを行う。ひとつのプロダクションが1冊まるごと担当することもあれば、1冊の本に複数の外部スタッフが関わることもある。

※1 「モーニング娘。にみるアイドル音楽の再評価」
ゲストとしてRHYMESTER宇多丸、作編曲家の渡部チェル、永井ルイが出演。モーニング娘。をはじめとするハロー!プロジェクトの楽曲制作について話を聞き、アイドルソングの魅力について考えるという趣旨のイベント。

※2 UNDER17
 「萌えソングをきわめるゾ」を合言葉に桃井はること小池雅也によって結成されたユニット。萌えソング黎明期において数々の美少女ゲーム・アニメの主題歌を担当した。2004年に解散。


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